みなさんはラバーダムという言葉をご存じでしょうか。
馴染みの無い単語かと思います。
それもそのはず、全国の歯科医院のうち、わずか5%程度の歯科医院しか使用していないというデータがあります。
当院では100%に近い割合で使用しているラバーダムについて本日は解説させていただきます。
ラバーダムは歯の根の治療(以下、根管治療)の際に、治療する歯を中心に口全体にゴム製の膜を張る処置です。実は、150年程前に開発された非常に古典的な方法ですが、現在も廃れることなく根管治療などで活躍しています。
根管治療では、治療している歯の中に唾液が入ってしまうと、それと一緒に口の中の細菌も入ってしまい、根の中に居ついてしまうため、うまく治らないことがあります。あまつさえ、一度治療しても、症状が再燃し、再治療が必要になってくることもあります。こうしたリスクをカバーしてくれるのがラバーダムです。装着感が決して快適とは言えないのが難点ですが、ラバーダムを行うと、唾液や細菌の侵入を防ぎ治療成績が上がる、再治療になるリスクが下がる、などのメリットがあります。さらに、数多くの論文がその事実を裏付けているのです。さらに、最近では、ラテックス(ゴムの一種)アレルギーの方のために、ゴム以外の材料を用いて作られたラバーダムも導入されていっています。
シンプルでも良いものは廃れない、その良い例と言えますね。